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保険の義歯と自費の義歯の料金差の背景

その違いがなぜ生じるかをご説明させて頂きます。業界の内情的で、かつ細かい内容で恐縮です。

ただし保険内の義歯に対しても私的には大事に考えておることをご理解頂いた上で、以下の文章を

お読み頂けると幸いです。

 
保険の義歯は義歯完成して装着時に患者様3割負担としてお支払い頂く料金は6,000円前後です。
これに国からの7割を合わせると20,000円となります。
この中から義歯を製作する技工士に15,000円を支払うとします。
そうすると歯医者としての利益は5,000円となります。歯科医の労働時間を8時間として、例えば8時間全て義歯の装着に費やすとすると
8
時間÷130分=16人になります。16人として1日の粗利益は5,000×16人で80,000円になります。例えば週休2日で仕事をすると1ヶ月20日仕事で全て義歯の装着に費やすと80,000×20日で160万円の利益となります。
付け加えると完成義歯装着に至るまでの過程
(
義歯の説明相談、型採り、咬み合わせ確認、完成義歯装着、調整)においては更に利益率は下がります。
そこから材料費、歯科技工士への製作費の支払い、従業員の給与、テナントの家賃、光熱費、設備の維持費を引くと利益はどんどん少なくなっていきます。
このような側面が保険診療にはあります。

歯科医が長年技術の向上に労苦を惜しむことなく培ってきたものを発揮することが難しいと言わざるを得ないのです。

これらの状況は歯科医にとっても患者様にとっても

良いことではありません。
利益率を上げようと、技工士の質を下げたり患者様の治療時間を短くすると
義歯の出来栄えは悪くなり
患者様の満足度は下がり、期待に応えることが難しくなってしまいます。

患者様に自費診療の料金をお話しすると時々こう言われます。「あまりにも値段が違いすぎて」と。口にはしませんが「自費診療の料金は余りにも高すぎじゃない?」と思っておられるのでは?と想像します。
その際に患者様には次のようなお話しをして理解を求めますが、あくまでも決めるのは患者様なので決して無理強いは致しません。

入れ歯は身体の1部を補う人工臓器である。
歯が無いと栄養が取れず健康を損なう可能性も出てくるわけで、なるべく違和感が少なく、痛くない義歯で食事をすることは健康の面でも気持ちの部分でも大事なことだと思います。
義歯はほぼ100%オーダーメイドです。かつ10年前後は使っていけるものです。
世の中に完全オーダーメイドで10年前後毎日使い続けられ物はそれほど無いと思います。もしそのようなものがあるとすればそれなりの値段がするはずです。

当当院では保険の義歯を希望され、製作していく場合が大半です。
ですので保険範囲内での義歯も大切に考えておりますことをお伝えしておきます。

どちら(保険か自費)の義歯を選ぶかに関して、遠慮は御無用です。その点は強調しておきますね!