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臼歯部にコンポジットレジンを使う問題点

コンポジットレジン(プラスチック・CR・ハイブリッドセラミックと呼ばれたりもする)は白色であり、審美的には金属のように目立たなくて良いのですが、私としてはコンポジットレジンを用いることをお勧めしていません。

その理由は、コンポジットレジンが歯の表層のエナメル質に比べて軟らかく、摩耗し易いからです。

因みに天然歯のエナメル質270〜366Hv

コンポジットレジン75Hv

奥歯の咬み合う部位に用いられたコンポジットレジンは対合歯のエナメル質に繰り返し接触することで徐々に摩耗していきます。

コンポジットレジンが摩耗すると、その摩耗した窪みに対合歯が移動してきます。(下図)

対合歯

図の様に対合歯の食い込みが起きると、咬む時の顎の前後左右の動きにより歯が揺すぶられ易くなることは想像できますよね。歯は揺す振られることにより根の周囲の骨が吸収して歯が動揺してきたり、知覚過敏も起きやすくなります。

一度大きく窪んだ歯を元の形状に戻すには、残念ながら対合歯を移動した分だけ上図の破線部まで削らなければなりません。しかし歯の山の部分が平らになることはあまり良いことではありません。

また奥歯に複数歯にわたってコンポジットレジン充填をしたり被せたりした場合、レジンが摩耗するにつれ噛み合わせが低くなってしまいます。

こうした咬み合わせバランスの悪化は < 歯・歯周組織・顎関節 >などに様々な問題を引き起こし、歯の寿命を短くしてしまう可能性があるのです。

したがって見た目が白くて目立たないし、保険適用で費用もかからないからと安易にマテリアルを選択しない方が良いと私は思います。

私が普段意識している
歯を長く残す為に大事になってくる治療の3要素は

歯科医のスキル 歯科技工士のスキル マテリアル選択

であり、
マテリアルの選択は重要な要素の1つであるということを最後に強調しておきます。